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「もう一つの中東危機:経済後退」

2002年3月27日のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙への投稿
By ピーター・サザランド ベルナルド・ホークマン


ニューヨーク

水曜日からベイルートで始まるアラブ首脳会議ではイスラエル・パレスチナ紛争問題が焦点になろう。しかし、紛争解決と同様に重要な課題、すなわちアラブ地域の深刻化する経済不況を打開するための方策については残念ながらほとんど注目されていない。経済発展が長期的にテロリズムの撲滅につながることをも視野に入れ、中東及び北アフリカの国々は、貿易により積極的な姿勢を示すと同時に経済活動における国家の役割をより限定したものにする必要がある。

われわれは、外交評議会に提出するため最近まとめた報告書の中で、中東及び北アフリカの国々に必要な青写真を提供した。この中でわれわれが述べているのは、この地域の不況打開のためには、単に貿易を活性化させるだけでは足りず、人的及び天然資源が豊かでありながら長い間経済発展の障害となっていた国内規制に取り組む必要があるという点である。

われわれは当初、国外に経済参画の機会をより多く設けることにより経済を刺激できると考えた。すなわち、欧州連合(EU)及び米国との緊密な連携を持つ地域的自由貿易機構を創ることが、苦境に喘ぐこの地域の解決策となると考えたのである。しかし、研究を始めてすぐに判明したのは、これら諸国の経済が抱える根本的な問題はむしろ国内的なものであるということであった。

無論、保護貿易政策が問題の一端であることは明らかであり、関税は欧州や米国に比較しおしなべて高い。しかし、国内改革の方が先決的な問題なのである。

まず、政府によるコントロールを少なくし、サービス市場における競争を活性化する必要がある。自由競争に対する規制をはじめ銀行・運輸・電気通信産業などのサービス業への参入を規制する政策は、コストを上昇させるのみであり、サービスの種類と質を低下させているのが現状である。

他の地域においては、公共事業やサービス産業の民営化及び競争促進体制が経済発展を促し、投資を活性化させている。欧州連合などはその典型的な例であろう。

中東及び北アフリカの国々の企業に対し、今回の報告書作成の過程でアンケートを行ったところ、これまでもよく知られてきた事実を再確認することができた。すなわち、特権を与えられている国営企業や官僚主義が投資と成長を妨げているという事実である。アンケートに答えた企業のうち実に20%が、販売総額の2%から9%が賄賂になっていると回答している。

過去四半世紀若しくは半世紀にわたり、中東及び北アフリカの多くの国々の経済活動は他の地域に追随する形で行われてきた。豊富な石油資源があるにもかかわらず、例えば1950年代に韓国と同水準だったエジプトの国民一人あたり所得は、現在では韓国の2割にも満たない。

世界中の国々が戦争や膨大な軍事支出を経験してきたことを考えてみれば、これらの要素のみでは中東や北アフリカ地域の相対的な経済状況悪化を説明することはできまい。

経済の悪化を説明しうる大きな要因として、この地域が石油資源の輸出を除いては、対内投資や物とサービスの流通を通じて世界経済に一体化していないことが挙げられよう。二つ目の要因として挙げられるのは、この地域のほとんどの政府が経済活動に対する国家の干渉を減らす努力を怠っていることである。

この地域の国々は、競争促進政策を短期間で導入すると大きな失業率の上昇につながると主張する。一方、われわれの研究によれば、サービス部門の改革及び公共部門のガバナンス向上及び効率化を貿易の自由化と同時に進めれば、経済全体では必ずしも大きな失業をもたらさない。

また同研究により、国際貿易協定が国内政策の変革を大いに促す可能性を持っていることも実証されている。

昨年9月11日の悲劇は、米国と欧州の安全保障が中東及び北アフリカ諸国の政治的、経済的、社会的発展と密接に関連しているという事実を世界に改めて突き付けることとなった。テロとの闘いは昨年の10月以降、専ら軍事的側面に焦点が当てられているが、われわれは中東及び北アフリカの経済発展の機会を増進し、憎しみと過激な行動の原因となる貧困を削減するという長期的な視野を失ってはならない。

今後の開発と経済成長なしには、これらの地域は奈落の底に落ちることになる。経済の繁栄した明るい未来への道標ははっきりしている。国内改革を目標に掲げ自由貿易の恩恵に与ることができるかどうかは、長きにわたり経済的苦境に喘ぐ中東及び北アフリカ地域における試金石となるであろう。




ピーター・サザランドは世界貿易機関(WTO)元事務局長であり、現在はゴールドマンサックス及びBP(英国石油公社)会長。ベルナルド・ホークマンは世界銀行開発調査グループでマネージャを務める。外交評議会の中東地域貿易政策に関する報告書は、www.cfr.orgにて入手可能。



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