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今日、何百万人もの人々が、紛争、貧困、感染症、人権侵害などの脅威により、その生存と尊厳を脅かされています。また、グローバル化はコミュニティーや個人に対し平等な恩恵を与えるとは限らないという現実があります。従来の国際社会の取組みのみでは、こうした問題が必ずしも解決できないことが明かとなってきました。国連事務総長は、ミレニアム・サミットにおいて「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」の二つの目標を達成することが必要であると述べました。こうした人々に対する脅威に対し、効果的かつ包括的に対処しようとするためには、人間を中心に据えた新しい考え方が必要となってきています。 人間の安全保障委員会は、こうした国際社会の要請に応えるため、2001年6月に設立され、緒方貞子・前国連難民高等弁務官とアマルティア・セン・トリニティーカレッジ学長(1998年ノーベル経済学賞受賞者)を共同議長とし、10名の世界中の著名な有識者を委員として活動を行ってきました。 人間の安全保障委員会の目標は次の通りです。
委員会の活動としては、概ね2つの方向から研究と協議が進められてました。一つは紛争と暴力から生じる人間の危険について扱う分野であり、もう一つは人間の安全保障と開発の関係に焦点を当てた分野です。最終的には、この二つの分野における研究結果を統合し、危険に晒されている人々を効果的に保護するためにはいかなる方途があり得るかについて、解決策を模索していきます。 紛争に関する研究においては、主として避難民、暴力、差別や迫害といった非常に厳しい状況下におかれたコミュニティーや個人に焦点を当てています。特に、そうした状況下における治安維持等のために特別に必要な措置、犠牲者の保護、国内避難民(IDPs)や難民等の問題が重要となります。また、様々な危険の要因の相関性に着目しつつ、人々の共生(coexistence)を進めるためにはいかなるアプローチが必要かという問題や、紛争の解決とともに開発を進めていく必要性についても重視しています。 人間の安全保障の開発に関連する側面を取り扱う研究においては、特に貧困、保健、教育、ジェンダー問題やその他の形態の不平等について特に焦点を当てています。同時に、例えば政府・国際機関の態様が人々の危険をいかに軽減しうるか、グローバル化の中で人類にとって新しい危険・脅威とは何か、危険の大きさと配分を測る尺度はあり得るのか等のテーマ横断的な問題も取り上げています。 こうした活動を成功させるためには、各方面との密接な協議、アウトリーチ(より参加者の範囲を広げた活動)、他の実務家や研究者等との共同での事業等が不可欠です。人間の安全保障委員会はその活動を積極的に広報するとともに、真に人間の安全保障を確保する必要がある人々の参加を得て進んできました。人間の安全保障委員会は、既存の方法論にも留意しつつ、各方面と協力して新しい「統合アプローチ」を提案することを目標とします。具体的には、全ての活動の成果を統合して、2003年に最終報告書を発出し、その中で国際社会の具体的な「行動計画」を提示することとしています。 人間の安全保障委員会の活動は、 日本政府やロックフェラー財団の支援により支えられてきました。また、その事業は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連開発計画、さらにはハーバード大学ケネディ・スクールと密接に協力しながら進められました。また、アウトリーチ活動として、コスタリカ、ベナン、トルクメニスタン、ベルリン、南アフリカ等で人々の生の声を聞く機会を設けました。 |
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